アメリカを代表するオートバイメーカーであるハーレーダヴィッドソン。その名前は今や世界に轟き、世界中のバイク好きにとっての憧れであり、ステータスとなっています。
例えばその優れたデザイン性。どっしりと重量感のあるスタイルは、いかにもワイルドで荒野に似合います。アメリカという国は移民の国です。かつて西部の時代、それは開拓の時代でした。そして開拓のためには、馬が必要だったのです。ハーレーが馬を元にデザインしたというわけではありません。しかし、そこにアメリカ人のアイデンティティとして、西部開拓の精神が今も息づいていると考えるのは、決して想像のし過ぎでもありません。深く刻まれた、遠い時代の記憶が今もアメリカ人に語りかけているのかもしれません。それをロマンというのは言い過ぎでしょうか。
そしてアメリカ以外の国々の人々にとって、それは大いなる憧れと映ります。神話を持たない国であるアメリカは、その代わりにハーレーを手に入れたのです。西部開拓の時代を経て、馬はバイクへと形を変え、アメリカならではの神話を担う存在となったと考えるのもまた一興でしょう。ハーレーに乗り、ツーリングで風を切る時、そこにアメリカ開拓時代の風が甦るかもしれません。